相談内容と経過を学術的に発表してもいいでしょうかと、名前を出さないことを了解の上での紙上発表です。28歳のAさんは3歳のお子さん一人とご主人と生活しています。非常に几帳面で、話す内容もしっかりしている人です。以前からニキビやのぼせ、足先の冷え、育児や家庭におけるストレスによるイライラで漢方薬を服用され、ほとんどそれらの症状も良くなってきたある日、「先生、実は私・・・。」と急にあらたまっての相談があるというのです。聞いてみると、その内容は、今のご主人とつきあっている独身の頃から産後を含め現在にいたるまで、Hをしたいと思ったこともないし、ご主人とそういう機会をもつことがたまらなくいやだというのです。子供は欲しい気持ちはあるのに、ご主人を受け入れたくないし、気持ちもよくなれないというのです。当然、ご主人ともギクシャクした関係が続いています。Aさんは身長も低く、体の線も細く、子供のようで、胃腸も丈夫の方ではありません。そこで、あるものを飲んでもらい、二週間後、一ヶ月後と状況を聞かせていただきました。すると、精神的にも肉体的にも違和感がなく、ご主人を受け入れられたというのです。「そうですか。それは良かったですね。ところで、学術的にお聞きしたいのですが・・・。女性としての感覚はどうでしたか?」とおそるおそるお聞きしました。「女性としての感覚?」やはり理解しにくかったようです。スムーズに受け入れられただけでなく、女性としての喜び、簡単に言うと、いい気持ちになれましたか?ということです。答えは、「ハイッ。」でした。こころと体の両面で改善されなければ意味がありません。頭ではわかっていても、こころ・・・つまり腹の底からわかることが大事なのです。いや、わかろうとしてわかるレベルではないのです。「自然と受け入れられるようになるように導く方法がある」ということです。それが、萩原流漢方です。今も、次のお子さんのために、またご主人のために萩原の漢方薬を飲まれているAさんです。そのうち、きっと愛するお子さんに恵まれることでしょう。
一つには漢方の基礎理論の習得が出来ていないために、しっかりと患者さんのニキビの漢方的原因追及がなされていないことによります。
部位では、おでこ・ほほ・エラ・口の周り・首・こめかみにだけ、繰り返しできたりする人がいます。根が深く、しこってつまめるようなニキビで切開してもらう人もいます。しかし当然切開すると跡がのこりやすいです。顔だけでなく頭にまでできる人もいます。色もさまざまです。赤・赤紫・薄い赤・色がない。全部意味があります。
生理の前になると、決まって大きくなったり、数が増える人。合わせてイライラしたり、甘いものがほしくなったり、過食になる人もいます。過食になってここで太ってしまう人もたくさんいます。この過食も実は治せるんですよ。
ニキビが、疲れると出る人、ストレスがあると出る人、食べ過ぎると出る人、のぼせて出る人、胃腸症状と関係する人、本当にいろいろです。
そのニキビができる原因、つまり漢方からみた判断を、「証」といいます。この「証」がしっかり出せなければ、あるいは狂っていれば、何か月も漢方薬を飲もうが、治ることにはなりません。
漢方は長く飲まなければ、わからないと言われますが、そんなことはありません。
状態が変化するのは、早ければ1週間でもわかります。一か月も飲んで変化しないなら、合っていないと考えた方がいいと思います。
今年も花粉症の時期になりました。実は早い人は1月上旬にすでに始まっています。「エッ、そうなの」と思う人もいるでしょう。もちろん一般的には、春一番の暖かい風が吹く頃が一番発症する人が多くみられます。ところが、病院でアレルギー性鼻炎と診断された方も、よくみるとタイプがいろいろあります。花粉の多さだけでなく、さらに気温や湿度がからむのです。寒い時になる人、温かいと出てくる人、雨の日にいい人もいるし(花粉が雨で落ちるので)、反対に雨の日に悪いという人もいるのです。雨の日に悪い人は、お風呂も良くないというのです。また、処方されたり、市販の鼻炎の薬を飲むと、鼻やのどがカラカラに乾いて痛みまで出てダメという人もいます。タイプがおのおの異なります。
漢方薬はそういうことを判別して選ぶのです。判断ができなければ、飲まないほうがまだましです。中国のことわざに、「へたな治療をする位なら、何もしない方が中程度の医者にかかったことと同じだ。」というのがあります。また、漢方薬はききめに時間がかかると思っている方がおられますが、そんなことはありません。私は、3日で状態の変化をみます。家族なら1回の服用で様子をみます。2ヶ月や3ヶ月飲まなければわからないようなら、花粉症の時期はとうに過ぎてしまいます。ついでに、漢方薬に自信のある医師は、漢方しか投薬しません。新薬と併用で漢方薬を投薬されて服用しても、本来の漢方の効果は新薬が効いていれば判断することはむずかしいことです。漢方は、漢方薬だけをだせるかどうかが、その先生の漢方力の判断基準なのです。
冬になるとお母さんに連れられた子供さんが相談によく来られます。風邪やタンのからんだ長引いた咳、喘息、のどの痛み、扁桃腺炎、おでこや目の奥、目の下の頬の痛みなど色々訴えがあります。お母さんとの話中、そっと子供さんに視線を投げますと口をポカンと開けています。鼻がつまっているので、口呼吸によってきまって朝になるとのどが痛いと言い、普段から水分、ジュース、コーラ、清涼飲料水をよくとります。このような子供は鼻が弱いためにのどや咳にきているケースが多々みられます。お母さんの知らないうちに、鼻炎であったり、副鼻腔炎になったりしているのです。鼻やのどの粘膜を丈夫にし、風邪や咳を改善させる漢方薬があるのです。しかし、そういいますと、必ず何という漢方薬がいいのですかと当然聞かれます。また、そういう患者さんの気持ちに便乗して、何々には何々がいいと商売をする人も当然でてきます。漢方では、透明でサラサラした鼻水と、白く濁った水っぽい鼻汁と、白く濁ったとろみのある鼻汁と、黄色の透明な鼻汁と、黄色のドロッとした鼻汁、黄緑色のウミ状の鼻汁では全く治療法が違うのです。鼻をかんでみればわかりますが、鼻汁の粘り具合でかんだ時の切れ具合が違いますよね。当然その鼻汁がのどに回れば、その粘り具合によってのどにからんでまいります。そうして、咳やのどが悪くなる人が出てくるのです。お母さんの観察力も治療には必要ですし、世間でよく宣伝しているものに対しての注意力も大事です。
第2話とは別の私の薬剤師の友人のお母さん、当年88歳である。1年前までお店に立ってお薬を販売するほど御元気だったが、今は介護の施設に入所している。というのは、身内の顔もわからなくなり、息子さんが会われても「どちらさんでしたかしら・・・・・」というしまつ。さらに、いつも「トイレ、トイレ。」と言い、その準備をしてもいざとなると出ないと言う。介護も大変である。そこで、私に漢方の相談があり、ある処方を指示した。結果は、目がイキイキとし、以前のような「どちら様・・・・・。」がなくなった。そればかりか、ちゃんと排便もある時だけ言うようにもなった。友人も「こんなこと漢方でできるんですね。」と感嘆することしきりである。
